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My Best ALBUM 2012(邦楽編) 4位~1位レビュー
2013-05-05 Sun 23:00


ではMy Best ALBUM 2012の邦楽編も終わらせてしまいましょう





 4位 くるり - 坩堝の電圧


 レディヘなどのUKロック界隈から多大な影響を受けたと見える「さよならストレンジャー」「図鑑」、テクノポップと接近した3作目「Team Rock」を経て、ダブやエレクトロニカなどの音響派とロックへの折衷へと舵を向けた「THE WORLD IS MINE 」、内省的な印象の「アンテナ」、ドストレートかつ軽快なロックンロールを鳴らした「NIKKI」、オーケストラとバンドサウンドの融和を生もうとした「ワルツを踊れ」、ネームバリューがついてきた「魂のゆくえ」「言葉にならない、笑顔を見せてくれよ」の2作ではどこかフォーキーな色合いと身軽に音をフッかけていくポップなアルバムを。
 カメレオンがゆっくりと色を変えながらも軽やかに進んだような、この道程と足跡。こうやって毎作違った顔を見せてくれるくるりを、<今回はどんな感じになるんだろう>というのがいつも楽しみにする。それが僕がくるりを待つスタンスだ。
 そんな彼らの記念すべき10作目『坩堝の電圧』 。京都人関西人らしいちょっと捻ったユーモラスさは前作「言葉にならない、笑顔をみせてくれよ」でもところどころで感じることができたが、まさかこの形でここまで捻ってくるなんて思ってもいなかった。
 「white out (heavy metal)」「everybody feels the same」「crab, reactor, future」「falling」といった思い切りのいいロックナンバーや、「dog」「soma」「my sunrise」「沈丁花」「のぞみ1号」のようなテンポ遅めなゆったりとしたカントリー/フォーキーなスローナンバーなどもあるが、19曲72分のこの大作には、ロックやフォークだけでなく、エレクトロニカもモータウンも昭和歌謡もタンゴもマイムマイムも中国語の唄も中東音楽の妖しさもすべてブチ込められ、「chili pepper japones」「argentina」「china dress」「jumbo」辺りのカオスっぷりなんて見事すぎるほど。なんだこの何でもアリな状態、ほんと笑わったよこの4曲。メイン武器と飛び道具、これまでの彼等の姿を忘れないようににバランスよく装備されてるので、リスナーが当惑することもあまりないだろう。
 同時に、東日本大震災の被災地への想いや原発問題についての歌が、オブラートに包まれることなく収録されているのも印象的だ。タイトルどおり福島県相馬市を歌った「soma」、 アルバムラスト3曲「沈丁花」「のぞみ1号」「glory days」へと展開していく流れだけは圧巻。いくつかに細かく刻まれたキーワードを歌う時、岸田の声は語気が強くなるのは、そんな想いからだろうと察するのはたやすい。
 特に最終曲の「Glory Days」には今作の全てが込められている。昔のインテリ気味な雰囲気はもはや霧散し、比較的に丸くなって親しき仲間たちとトボケた顔で楽しんでいる人間が、「忘れるんじゃねぇぞ?」とばかりに歌い上げるのは、音楽としても言葉としても「進み続ける」とという宣言なのだろう。
 『坩堝の電圧』「るつぼのぼるつ」「ルツボノボルツ」。アナグラムとは一つの言葉遊びだ、単語や文の中の文字をいくつか入れ替え、全く別の意味にさせる遊びであり、 今作タイトルでいえば回文という体になっている。下から読んでも上から読んでも同じ読み、同じ読みでも意味は全く異なり、意味が異なっても同じ読みにもなる。そこには、どれだけ音楽を入れ替えても、どれだけ言葉を入れ替えても、くるりというバンドは不変であるというちょっと捻ったユーモラスさがあるのではないか。くるりの最新作「坩堝の電圧」は、まさに彼らを体現した大作だと僕は思うのだ。 

















 3位 cero - My Lost City


 Contemporary Exotica Rock Orchestra、「現代の異国風のロック・オーケストラ」、略してcero(セロ)。 ロックの軽やかにステップを踏む力に、スティールパン・ピアノ・キーボード・パーカッション・トランペット・サックス・フルートにホルンといったまさに楽団の音を織り込ませるセンスと、主に作詞作曲を担当する高城の描くファンタジーめいた小世界を掛け合わせる。その2つの融合は、僕らを小躍りさせてくれるドキドキと、ありもしない世界へと導いてくれるロマンに満ちている、前作「WORLD RECORD」に詰まっていたのはそれだった。
 東北太平洋大震災を経て生み出された今作「My lost City」は、基本的には前作と同路線上、ファンタジーでちょっとロマンチックでウキウキさせてくれる作品に変わりない。驚きなのは、今作では明確に「架空の都市」が浮き彫りになりつつも、幻想の中に現実的な描写が入り混じる独特のストーリーとして仕上がっていることだ。
 「マイ・ロスト・シティー」の「水蒸気爆発 戒厳令下の目論見」には震災後の原発周辺のゴタゴタが匂うし、「ダンスをとめるな!」とクラブ規制に対するような言葉をも放つ。「船上パーティー」ではつまらなくしている娘を攫おうとする人物に、文字通り「ちょっと待った!」と叫び、歌い手が物語に入ってくるというちゃぶ台返しを披露。「スマイル」では世知辛い出来事にシニカルな態度をとってしまう人を描き、「Contemporary Tokyo Cruise」では幽霊船に揺られながらもあるはずない東京の摩天楼を幻視する。「さん!」では荒野になった東京、小世界としての街を超えていくリズム、ちりぢりになった魂を想う。
そして特筆すべきは「わたしのすがた」だろう。
マイ・ロスト・シティー あの日遠くから見ていた東京タワー 上り詰めたこの町に 違和感 何も変わらんとこが 何より不気味でFeelin'down
シティポップが鳴らすその空虚、フィクションの在り方を変えても良いだろ?
と韻を踏みながら挑発的な言葉を歌う。
 そんな言葉を届けるサウンドは、シュガーベイブのような70'sシティポップを思わせる「マウンテン・マウンテン」「スマイル」、R&Bやファンク寄りのグルーヴィーな「マイ・ロスト・シティー」「船上パーティー」、ジャジーな金管楽器の絡み合いが印象的な「大洪水時代」や和太鼓が印象的な「Contemporary Tokyo Cruise」にテクノ系のシーケンス音が新しく聴こえる「わたしのすがた」などなど、どの曲にもリズムやメロディも定型に縛られない自由さがあり、前作のヘンテコ・ポップス感を一歩二歩進めた印象が強く、どれにも「エキゾチック」なワールド・ミュージックの匂いが漂うサウンドになっている。
 思うに、今作で浮きぼられた「架空の都市」というのは、音の上に言葉があるポップ・ミュージックの在り方のそのもののように、船の上に都市があるのかもしれない、それも現実世界からの強い影響を受けて生み出されたのかもしれない。そして今作が示すのは、フィクションの在り方を変えていこうとする彼らの最初のデッサンであり、それも今までより精密かつ濃密な世界だ。












 2位 The Mirraz -『言いたいことはなくなった』


ブログ参照 →→ The Mirraz - 言いたいことはなくなった 「そして彼らは軽快に」
とても軽快なロックンロールを鳴らしながら、これまでの彼等とは違う言葉が乗っかること、それはとても全うなロックンロール・アルバムでありながら、変化を詰め込んだアルバム。王道と変化がこうも気持ちよく聴けるアルバムは、中々ないと思う。
















1位 宮内優里 - 『トーン・アフター・トーン』


 テクノとかアンビエントとかチルウェイブとオーガニックとか、もういいよその言葉聞き飽きたよ。
 どうせ、人の気分を落ち着かさせたり、心地良い気分にしたり、くつろいだりできそうな、そんな音楽でしょ?。だから静かで、キレイな音で、激しくない、そんな感じの音楽なんでしょ?。
 そう思われている人は、おそらく多いだろう。タルくて、面白みのない、時に長くて、自分から選んで聴こうとは思わない・・・大部分の人がそう思っているだろう。
 アコースティックギターを中心に様々な楽器の音をサンプリングし、曰く”音の実験室”(公式レーベルより)とも言われる宮内優里の最新作『トーン・アフター・トーン』は、カヒミカリィやクレモンティーヌを手掛けた神田朋樹をエンジニアに招き入れコーネリアスのゲスト参加して制作された。
 優しげなエレクトロニカ・サウンドにアコースティック・ギターとシンセサイザー、楽器数(種類)はあまり多くないことで、彼らしいスッキリとした風通しの良いサウンドになっている。同時に、前作がボーカルを入れたアルバムだったからか、ポップソングのような抑揚がはっきりついたメロディが耳に残るし、アコギの生音とシンセの機械音と絡み合いもより深みを醸し出している。エレクトロニカから連想されよう<アーティスティックで知的なイメージ>は、この有機的かつ深みあるサウンドを聴けば覆されてしまいそうになる。
 それでいて、これも前作でボーカル曲を制作した影響だろうか、おおよそのアンビエントやチルアウトやオーガニック・ミュージックとは違い、適度に速いリズムを刻んでいることで、独特なポップ感を生んでいる。それはロックバンドのように騒がしくなく、エレクトロやクラブのようにダンスさせるものでもない、エレクトロニカとアコギの優しい音色で休まった心を、ほんの少しだけ躍らせてくれるものになっている。
 心落ち着かせることもできるし、少しずつテンションを上げてもいける。それはつまり、どんな時にでもリスナーを包んでくれるとほぼ同義だろう。それはポップ・ミュージックとしても幸福なことじゃないだろうか。


















↑↑2012年11月17日 『トーンアフタートーン』ツアー 横浜公演



以上で全部終了!!!!!!!!
全部読んだ人ありがとう!!!!!
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