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【ディスクレビュー】BUMP OF CHICKEN 『ユグドラシル』 - 光へと変わっていくための
2014-03-11 Tue 23:53

ユグドラシルユグドラシル
(2004/08/25)
BUMP OF CHICKEN

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 前作『Jupiter』から2年の時間をかけ、2004年に生み出された本作。製作に半年以上もの時間をかけたという「ロストマン」と、みんな大好きワンピースの主題歌になった「saling day」の2作をコンパイルしたシングルを2003年3月に発売、その後1年近い曲作りとレコーディングを経て生み出された。

 本作で、彼らは大きな変化を通り越えていくことになった。主軸であった所謂「ギター・ロック」のサウンドから、アコースティックギターやカントリーミュージックに接近し、緩やかなリズム感とアコースティックギターの柔らかな音色を混ぜ合わせたことだ。

 元を辿れば、藤原基央のカントリー・ミュージック好きがきっかけだと思われるが、本作以後の2作「orbital period」と「COSMONOUT」ではその趣向は徐々に大きくなっていく。この志向性が、海外インディーシーンの「チェンバー・ポップ」と同時代的に動いたということも見逃せない。Sufjan Stevens、Bon iver、Fleet Foxes、Mumford & Sons、Of Monsters and Menなど枚挙にいとまがないが、彼らとBUMP OF CHICKENがこうして同時代にいるのは非常に面白いと思う。
 無論、バンドサウンドの変化としては決して小さくない変化なのだが、本作の1曲目のインストナンバー「Asgard」とラストの「Midgard」を筆頭に、「車輪の唄」「同じドアをくぐれたら」「Fire sign」などを聞けば、たった2年でカントリー・ミュージックを咀嚼し、自分たちの音として奏でたことに驚いた人多かったと思う。






 2005年6月当時、後藤正文(ASIAN KUNG-FU GENERATION)&藤原基央のラジオ対談
 10分頃からの「青春の音楽」というお題で話が始まるが、そこで藤原基央があげるのはCreedence Clearwater Revialとカントリー・ミュージック界の凄腕ギタリストRon Block(Ron Blockを聴いてる10代ってすげぇよなぁ!)。Ron Blockは言うに及ばず、CCRのスワンプ・ロック/サザンロックは、ブルースとカントリーが色濃く反映されたロックだ。この血筋は、バンド初期の「ガラスのブルース」というタイトルなどから脈々と彼らの中に繋がれてきたもの。『同じドアをくぐれたら』や『レム』といった弾き語りを軸にした楽曲に、心を鋭く攻撃するような歌詞が紡がれるなど、彼らが奏でてきたいわゆる『ロック』を超え、両親であるカントリーとブルースを意識してうみ出されたのが本作、もしかしたらそんなことを言ってもいいのかもしれない。


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 こうしたサウンド面での過度期をとらえたのが本作であり、同時に、作詞家・藤原基央の変様が大きく見て取れるのが、本作でもある。
 ここで、半年以上もの時間をかけ制作を続けた「ロストマン」を見てみよう。

状況はどうだい 僕は僕に尋ねる
旅の始まりを今も思い出せるかい?
選んできた道のりの 正しさを祈った
いろんな種類の足音 耳にしたよ
沢山のソレが 重なって また離れて
淋しさなら忘れるさ 繰り返すことだろう
どんなふうに夜をすごしても 昇る日は同じ

破り残った 手作りの地図
たどった途中の現在地
動かないコンパス 片手に乗せて
霞んだ目 凝らしてる

君を失ったこの世界で 僕は何を求め続ける
迷子って 気付いてたって気づかないふりをした


 素読みしてみれば、これはリスナーのために綴られた言葉としてだけではなく、過去の自分たちを逡巡した独白めいた言葉にも読める。
 1stアルバムの項であげた「バトルクライ」を思い出してみよう。

本当は強がってるんだ。強がって、またウソついて
それが僕のわずかな力 ただの強がりやウソさえも
願いをこめれば誇れるだろう 望めば勇気にもなるだろう


と、強がることも一つの強さだと歌っていた。
ここで本作の「乗車権」を見てみよう。

強く望む事が、欲しいと望んだよ。
夢の先なんて、見たくもないから


 つよがりやウソに願いを込めても勇気にはならない、ロストマンの歌詞と合わせて読めば一目で彼らの変化がわかるはずだ。本作収録の「レム」で歌われる「生まれたことを恨むのなら、ちゃんと生きてからにしろ」を、前作の「Title of mine」と比較して読んでもいいし、もうひと押しすれば、「バトルクライ」を収録した『FLAME VEIN+1』は『ユグドラシル』発売直前にリリースされている。これは僕の妄想の話だが、もしも本作で藤原が誰かに向けて歌っているのだとしたら、それは過去の自分たちも視野にあったのかもしれない。

 前作『Jupiter』と「天体観測」の大ヒットの余波により、既存ファンと新規ファンの大きな入れ替えがあったり、演奏力の無さを叩く匿名の言葉などが乱れ飛んでいたのを、僕はよく覚えている。鋭いギターサウンドから柔らかいサウンドに包まれていった本作の彼らは、自己治癒とアイデンティティの模索(あるいは再構築)をしていたのではないか。ある意味では、彼らが子供から大人へと向かう瞬間を切り取っているといっていい。そして、過去に彼らが強がりつつも決めこんだ<君のために歌を歌う>という選択について、「fire sign」は前作収録の「ベンチとコーヒー」や「メロディーフラッグ」をもじりながら歌い上げていくのだ。




微かでも 見えなくても
命の火がゆれてる
風を知って 雨と出会って
僕を信じて燃えてる

歌うように 囁くように
君を信じて待ってる
微かでも 見えなくても
命の火を見つける




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